二十絃箏製作過程その1
−二十絃箏発表まで−


二十絃箏は1969年に完成し、同年11月7日の【野坂惠子第2回箏リサイタル−二十絃箏のための】にて発表されました。
ここでは、その二十絃箏第1号完成、発表までを年譜風にして紹介します。


1968年(昭和43年)7月○日
 糸の数を増やした箏を造りたい。

12月○日
 小川楽器に正式に相談。
 三木稔氏に絃の数の相談をする→二十本あれば独奏楽器として可。

1969年(昭和44年)1月○日
 磯の両側の厚みを変える。低音側1.5cm厚くする。

2月23日
 糸巻器試作。

3月8日
 二十絃の材を見る。
 糸巻器との寸法が合わず、つめてもらう事にする。
   ・裏板の穴は小さめにしておいて、テストの後あける。
   ・竜尾の角を5本分だけ下げること。
   ・糸巾は、今までの7本分が8本分になる様にする。
   ・糸の太さは、20と19(十三絃は18を使用)。

3月18日
 稽古箏の磯に巾3cm、長さ30cmの穴を二つあけてみる。
         ↓
  低音がよく響く 音も耳で聴いて2割大きい。

3月22日
 小宮清が図面をひいた、糸巻器出来上がる。メッキも完了。
 音を消すために何か方法がないか?

4月25日
 消音器完成

5月2日
 二十絃箏、一応完成!
 消音器を家でつける。
 ピアノ楽器店でフエルトを買ってくる。
 清徹夜。明け方6時に完成。

5月3日
 2時〜5時【試聴会】
 入野義朗(作曲)
 小山清茂(作曲)
 三木稔(作曲)
 徳丸吉彦(評論)
 赤松(東京演奏家協会)
 安藤(NHK音響研究部)
 谷口牧夫(朝日新聞記者)
 カメラマン
 清
 操壽
 惠子

   二十絃箏第1号!!

 二十絃箏は成功した!
 音も大きいし、残響も豊かだ。
 磯に穴をあける事で、安藤氏にいろいろ意見を伺う。
 母に六段を弾いてもらい、穴を二つあけた箏を
 その穴をふさいだり、あけたりしながら皆さんに聴いていただく。
      ↓
 竜角側をあけると高音が出る。
 真中をあけると低音が出る。

7月29日
 小川楽器店へ
 竜尾の角を13本(箏の長さ)と7本に分ける。

8月2日
 磯の穴を二つ長くあける。

8月3日
 古い箏に、糸巻器をつけ、絹糸をつよくしめてみる→8時間経っても切れない。
 小川楽器は「絶対に使えない」と返してきた。

8月10日
 立奏台作成開始
 箏の低音部の方の磯巾を一寸広げてみよう。
 一から八までを糸巾を0.2cm広くする。
      ↓
 結果は、非常に演奏しにくく、再び均一になおしてもらう。

9月14・15日
 丸2日間、小川楽器店で清仕事。
 ダンパーと糸巻器取付け。

9月18日
 一台目の二十絃にダンパー取付け直し。

9月24日
 2台目二十絃箏完成!?
      ↓
 が、糸巾を均一にする為、小川楽器店に。

10月5日
 糸巻器取付けに小川楽器店へ

10月7日
 2台目二十絃箏完成。

 改良点
 1、消音器の取付け
 2、糸巻器の取付け→自分で糸の強さを自在に調節出来る。
 3、立奏台の考案
 4、磯に穴をあけ、音を前方に出す
 5、磯の巾を低音部を一寸高音部より厚くする
 6、糸巾の変化(従来の筝より0.1cm狭くする)
 7、糸の太さの変化(従来の箏は13本均一)
      3種類を使用したが、結果は2種類で足りる様だ。
      その方が箏の音色に近くなる。
 8、C・Gに黄色の糸を使用
 9、竜尾の角を7本分下げる(低音が響く様に)

10月20日
 小宮清デザインの反響版付き立奏台完成

11月7日
 【第2回箏リサイタル−二十絃箏による−】を日経ホールで終了
 −二十絃初演曲−
 ・二十絃箏とフルートのための二重奏曲 堀悦子作曲 (フルート 野口竜)
 ・二十絃箏と十七絃箏の為のファンタジー 入野義朗作曲 (十七絃箏 宮本幸子)
 ・緯 林光作曲
 ・天如 三木稔

   リサイタルにて・・・

1970年(昭和45年)1月21日
 芸術祭優秀賞受賞(リサイタルの成果として)







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